京都・裏寺 メシと酒「百練」

第53回 追悼、作詞家・星野哲郎編

我々にとっては父親だった。

この15日に心不全のためお亡くなりになった作詞家、星野哲郎さん。聞くところによると星野さんは昔、盛り場で酒場や居酒屋のその場その時に飛び交う漂っているフレーズをコースターや割りばしの袋などに書かれていたらしい。そうなのか、と思った。「昔の名前で出ています」では「京都にいるときゃしのぶと呼ばれたの」が出だし。「函館の女」では「はるばるきたぜ函館 逆巻く波を乗り越えて」で始まる。「アンコ椿は恋の花」では「三日遅れの便りを乗せて」、鳥羽一郎の「兄弟船」では「波の谷間に命の花が ふたつ並んで咲いている」が情景を突き立ててくる。なんとも凄い。こんな出だしもある、「ボロは着てても心は錦 どんな花よりきれいだぜ」凄いフレーズである。百練も随分、作詞家、星野哲郎さんに恩恵を受けてきました。今日の京都は少し寒いけれど、いや寒いからこんな夜はいい歌に包まれて熱燗をチョット飲もう。コッペもてっぴもくもこもあります。もちろんヌカ漬の古漬もあります。「親の血を引く兄弟よりも かたいちぎりの義兄弟」。歌は助けてくれます。さあ今夜、寒いから百練で作詞家、星野哲郎さんにふけりましょう。昔の名前で出ています。たまりません。あー。

続・百練の聞いて語る祭り

第200回〜第209回

第190回〜第199回

第180回〜第189回

第160回〜第169回

第150回〜第159回

第140回〜第149回

第130回〜第139回

第120回〜第129回

第110回〜第119回

第100回〜第109回

第90回〜第99回

第80回〜第89回

第70回〜第79回

第60回〜第69回

第50回〜第59回

第40回〜第49回

第30回〜第39回

第20回〜第29回

第10回〜第19回

第1回〜第9回