京都・裏寺 メシと酒「百練」

第138回 ファニア・オール・スターズ編

あのグッとくるサルサ。

さあいよいよ九月になりました。秋の気配がしてくるとしばらくいただけなかったあれやこれやで胸がいっぱいになります。ということで九月は愛する気持ちや恋をテーマにダンディー路線でやっていきたいと思っています。その一発目はニューヨークサルサでいきます。あのグッとくるサルサ。せつなくて仕方ないあのサルサ。あの、酒でパー・サルサダンサーもきっと今宵踊ってくれるでしょう。先日コラムにこんなことを書きました。

「顔が変わってきている。いろんな顔が。街の顔ぶれもずいぶん変わってきた。さびしい。仕方がないのかなとも思う。みんな年をとる。年をとれば若い頃より何かと弱る。街への出動回数、食う量や飲み方、酒や歌や夜が少しは弱る、弱るかのように思う。けれども街の顔は野球選手やスポーツ選手ではない。年をとってからまさにピークを迎えないといけないのが街の顔の所以だろう。難しいけれど年をとってからが本番だ。」

そうなんです。街の選手はアスリートやプロ棋士ではないんです。年がいってからピークになるんです。しょっちゅう街に出ないとあかんのです。

「だいたい年をとれば街への出動回数が減るというのはおかしい。俺の周りにはほぼ毎日出動の先輩方が夕方からいつもズラリと並んで飲んでおられるバーもあるし居酒屋もある。雨降りの日も溶けそうに暑い日も大雪の日もズラリと並んでそれぞれに飲んでおられる。

お互いがあまり話されることはないが会釈だけはされる。そしてみなさん酒が普通に強い。いいウイスキーをゆっくり飲んでいる感じがするがいつ見てもグラスはカラになっている。仕事帰りにチョット寄ってショットグラスではなくロックグラスでショットガンを飲んでいる先輩もいる。ビールをピッチャーでもらってそれと何かを飲んでいる先輩もいる。ウイスキーもガブガブ飲んでいる感じではないのに飲んでいる量はかなり多い。

そして街の先輩はいつも同じ酒だ。酒だけで誰かがわかる。それに加えてみなさんいつも同じ服装をしておられる。服だけで誰かがわかる。実のところ酒だけで服だけで誰かわかるということは大スターあるいは世界的著名人みたいなもんだ。置いてある飲みかけのグラスで誰かわかる。掛けてあるコートで誰かわかる。それは非常にゴキゲンなことだと思う。

毎日毎日好きな場所あるいはそこにしかいけない場所で、好きな服あるいはそれしか持っていない服または正味の一張羅を着て、好きな酒を飲み続けていることで街の大スターと言われ出す。人生ゲームでもこんな近道はない。街の先輩はこんなに素敵なことをまさに背中で飲み方で教えてくれているのだから、俺らはもっと街に出て先輩達の真似をして、いつの日か真似をされるような顔にならないと乾燥してしまう。」

ウーム、今宵の百練はニューヨークサルサ。隣のバー「ピニャコラーダ」のマスターがビシッと泣かせるレコードを持ってきてくれるでしょう。チョットコラムを抜粋して長くなりましたが、素敵な夜はすぐ消えてなくなります。さあ九月の第一週。カマンベール。

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