京都・裏寺 メシと酒「百練」

第325回 B.B.KING編

カオス裏寺の面目躍如な感じです。

京都は明日からいよいよ祇園祭です。神輿渡御を担わせてもらっている錦市場では祭の準備の真っ最中です。しかし裏寺はチョット湿気が多くB.B.KINGです。キャロル、山口百恵、B.B.KING。カオス裏寺の面目躍如な感じです。カオスだから腹も出るわいなです。

そういえば少し前に、出た腹に乾杯という原稿を書きました。

出た腹に乾杯。

実は私、腹がかなり出ている。そして足が年々細くなってきて胸板も薄くなってきた。子供の頃や若い頃に銭湯で見ていたお年寄りの身体に少しずつ近づいてきているような気がする。そう思うとかなりせつないけれどそれが現実だ。お腹だけがポコッと出て足がどんどん細くなってきて棒のようになったその体は相撲も実に弱そうだ。

けれども中年になって腹が出ていないのもどうかと思う。生き物として腹が出ている方が合理的ではないのか。

メシも酒もおいしくて、かなり長い時間飲んで夜は一時間も二時間も食べているのは私だけではないはずだ。しかも若い頃のように激しい運動も仕事もしなくなり、適当に手を抜いているのか手練れになったのかわからないが連続してハードな仕事をしなくなった。そうなれば腹が出て当然だろう。

だいたい中年以上になって腹が出ることのなにがいけないのか。インターネットや家庭の医学や行きつけのお医者さんに行ってそれを調べたり聞いたりすることは簡単だが、私の場合は地団駄というステップを踏みながら街へ出て泣きながら考える習性が身についているので今回もそのようにした。

街に出て何軒かの居酒屋や酒場で飲んでいる人を見るとやはり腹の出た人が多い。立ち飲み屋の店の端でヒヤを飲みながら店を見渡せばほとんどの人の腹は出ているではないか。私は正味、ジーンときた。「巨人の星」なら星飛雄馬が大きい眼から涙を溢れさせながら「みんな一緒だったんだ、とうちゃん」という感じだ。「あしたのジョー」なら「おっちゃんよ。酒呑みはみんな腹が出てるんだとよ。へへっ、関係ねえよ俺にはよ」といいながらシャドウボクシングをしていただろう。

酒にもビールにもカロリーがあり、それを何時間もかけて何杯何杯もジッとしながら飲む。しかも塩と油とうま味がたっぷり入ったものを食べながらだ。漬物や塩辛であったり昔ながらの塩鮭であったり、刺身にしてもきずしにしてもそれらは食べたうちには入らず、たっぷり飲んで食べた後に必ず炭水化物系のものを注文してしまう。あるいは店を出て家に帰る間際にうどん屋かラーメン屋に入ってしまうのだから腹が出るのは必定。いや必至。もはや投了ということだ。

だいたい腹が出ている方がスタイリングとして格好いいと思う。中年になって逆三角形の体は街場のTPOから考えるとずれている。

朝は朝ごはんがうまい。お昼になったらこれまた腹が減りシアワセ現るキンコンカンだ。そして夕方になると今度はノドが乾いてくる。腹が出て当然だと思う。

さあみなさん出た腹に乾杯しよう。乾杯、ここに幸あれ。カマンベール。2016/6/30

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